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今回はコンサルティングで実際に行っている問題解決のやり方について具体的にお聞きします。

まず問題といっても会社の中には、さまざまな問題があり、さてどこから手をつけようかと迷ってしまうのではないでしょうか。

そうですね、実は手をつける前に非常に重要なことがあります。


それはなんでしょうか?

まず、問題を問題として、認識をすることです。

具体的にいうと?

同じ問題であっても、Aさんは大変大きな問題と思っており、Bさんはたいした問題じゃないと思っていることがあります。

問題に対する意識の仕方については、個人によってぜんぜん違います。それは個々人の置かれている立場や環境が違うわけですから当然ですよね。

そうですね。

そこでまずは、みんなで問題だと思うことを出しあって、重要度とか緊急度で優先順位を決めて、一人一人がこれは問題なんだという、共通認識をもつことが大前提です。

ここからスタートしないと、問題解決といっても、何をやっていいか分からない。みなが問題と思っていることがバラバラだから。

最初に、問題を問題としてみんなが共有化をする。そうしてレベルを合わせるということが出来れば、問題解決も進んでいくし、職場の活性化も進んでいくということになります。

なるほど、実際にはどのように共有化を図るのですか?

私が指導している中で、問題とは、米国の経済学者ケプナー氏とトレゴー氏のいうところの「あるべき姿から逸脱した現状、それを指して問題という」と定義づけしております。あるべき姿というのは、ひとつの理想形、本来はこうあるべきという姿です。

実は、このあるべきと思う事柄も本当は個々人違うのですが、まずは理想に対して現状はこうですという、そのギャップを問題として捉えるようにします。

こういったことをみなで話をして、まず問題というものの概念をしっかり理解をしていただきます。

その後はどのように問題を出していくのですか?

まず、一人につき20枚ほどメモ用紙を配ります。

そして、自分が問題だと感じていることを、1枚のメモ用紙に1つ書いていきます。

これは強制していますが、まず10枚は書いてもらいます。自分自身がうちの職場で問題と感じている、とりあえずは不平不満であってもなんでも構いません。おかしいと感じていることをとにかく1枚の紙に1つ、10枚書いてもらいます。

10枚書けるものですか?

はい。10枚書けないという人はまずいませんので、安心して書いてもらって下さい。

中にはたくさん書く方もいて、20枚じゃ足りなくて、もっと紙を下さいという方もいらっしゃいます。

ところでなぜ紙に書くのでしょうか?

実はねらいは二つあります。

一つ目は問題をとにかく全部出し切ってしまうということ。

二つ目は整理をしやすくすること。

ことばでのやりとりになると、「そうじゃないよ」と反論があったり、「それはおかしいよ」と指摘をしたり、また弁解がでたりして、みんなが感じている問題を出す前に議論が始まってしまいます。

そうすると、うまく問題処理が出来なくなってしまいます。

そこでまず紙に書くのです。

紙に書くということで、本音が出やすいというメリットもあります。

よくわかりました。では紙に書いた問題を次はどうするのですか?

20名の場合、一人が10枚書けば200案件出てきます。

その約半分ぐらいは内容が重なっていますので、実際の内容は100案件ぐらいです。

20名で100案件の題材があれば、それはもう十分です。問題の100%がそこに出てなくても、大体みんなの思いや感じていることはそこに出てきています。

この200枚のメモ用紙を回収して、混ぜ合わせます。そしてトランプを配るようにこれを配ります。そうすると他のメンバーが書いたメモが手元にきます。

どうしてそうするのですか?

誰が何を書いたなどの余計な詮索や、「おまえはそう感じているかもしれないけれど、俺は感じてないよ」とか、そういうことではなく、まずこんな問題がうちの会社にはあるんだということを伝えるためにそうします。

わかりました。

あまり人数が多いと十分な意見交換やグループ討議ができなくなりますので、6〜7名くらいのグループに分けます。20名だと3グループになります。

実はこの6〜7名というのは、一番活発なグループ討議が出来る人数なのです。

グループ討議はどのようにすすめるのですか?

手元にあるカード一枚一枚を自分の意見として扱います。他人の書いたものですが、全部自分の意見としてもらい、一枚一枚に自分はそれに対してどういう意見があって、どう思っているのかを自分の意見としてグループの中で発表します。

当初は慣れていないものですから、第一回目の一枚目のカードは自分が見本をやります。

まずカードを読み上げて、「これについて私はこういう意見をもっています。このようなことをこのカードは言っています」、と自分の意見として発表します。

その後で他のメンバーの意見を聴きます。

それと似たニュアンス、もしくは同じ事を書いてあるカードを持っているメンバーは、手を挙げてカードを読み上げます。

「私はこのような理由で、最初のカードと同じ内容だと思います。みなさんこれを同質の意見としてもいいですか」と合意を求めて、OKであれば最初のカードの上に乗せます。このようにカードをまとめていきます。

当然「違うのではないか」という意見も出てきます。そこを十分に討議して、戻すなら戻す、置くなら置くと全員で合意をしていきます。

必ず全員ですか?

はい、全員です。

置くというのも全員の合意で置いてもらいます。そして出揃ったら、最初にカードを出した人が、それらのカードの表題を新しいカードに書き、クリップで留めて一つの意見として整理をします。

次に順番に隣の人が持っているカードを1枚読み上げます。

同じことを繰り返して、カードがなくなるまで行います。

次に何をするのですか?

例えば30個ほど、クリップで留めたカードが出来たとします。

今度はそれをカテゴリごとに分けていきます。

これは人事に関する問題、これは営業に関する問題、これは組織風土に関する問題、これは挨拶などのビジネスマナーに関する問題と。

例えば10個のカテゴリに分かれたら、それを今度はそのカテゴリをいいあらわす言葉、タイトルをつけてもらいます。

そこまでいくとかなり整理ができますね。

そうです。カテゴリごとにタイトルをつけたら、そのカテゴリに点数をつけていきます。100点満点だとすると、重要度や緊急度の高いものから、これは30点、これは15点これとこれは5点というようにカテゴリに点数を配布していきます。

これももちろん全員の合意の上ですすめます。

すると、自分のグループではどういう問題に対してみんなが関心があり、それについてどう思っているのかという問題の共有化と共通認識ができてきます。

そこから問題解決に入るわけですね。やはり点数の高いものから話し合うんですよね。

グループによって違います。やりやすくて結果の出やすいものから始めるグループもあります。またグループ全員の関心の高いテーマからやっていくグループもあります。

今度は実際になぜその問題が発生しているのか、その原因は何なのか、どのように困っているのか、などをしっかりみんなで話し合って、原因分析をします。

原因分析というとむずかしく聞こえるのですが、要するに「どうしてこうなってるんだ」ということをみなで話し合ってほしいのです。

十分に話し合ったら次に対策です。

どうしたらこの問題を改善できるのか。改善案、対策案というものを2〜3案考えてもらいます。

その案をみんなで検討してどう実行に移すのか、段取りを考えます。

具体的に教えてください。

行動計画を作るのです。

5W1Hを使って、誰がいつ、どこで、どのようにやっていくのかというのを具体的に書いて、目標を設定します。

実際に一つのカテゴリについて、このように段取りを立てるまでどれくらい時間をかけているのですか?

そこまでで、約半日もしくは1日使います。

行動目標を立てたら、次は実行です。

実際に職場で実践してもらいます。そして1ヶ月後、再度この研修の場にもう一度同じメンバーに集まってもらいます。

そして実行できたか、できなかったのかを話し合います。

やれたというならばどういう成果があったのか、どう変化が出来たのか、できなかったのであれば、どんな原因があってできなかったのか、何が問題で出来なかったのか、それらをしっかり発表してもらいます。

そして結果についてもみんなで共通認識を持つということをやります。

これを半年間ぐらい繰り返し行います。

この問題解決をすることで個々人にとってのメリットはありますか?

はい、たくさんあります。

まずマネージャーであれば、マネジメントの基本が身につきます。

具体的にいうと、管理の5機能というものがあります。

 (1)計画機能

 (2)組織の機能

 (3)指令の機能

 (4)調整の機能

 (5)統制の機能

実は問題解決では、この5つの機能を自然に順番にやることになります。まずは(1)計画を立てる、次に(2)(3)(4)の実施の段階では、連絡・報告・相談の確認や部下指導、他部門との調整が必要になってきます。(5)の統制で、反省と評価のチェックを行います。

このようにプランードゥーチェックのマネジメントサイクルが回っています。

ですから、問題解決そのものがマネージャーにとっては、マネジメント教育の一環として、理屈じゃなく実践で認識ができます。

報告や連絡の重要性とか、日時を決めてから仕事にとりかかるとかですね。

実際こういったことをやらないとうまく回っていかないのです。

研修の場で今回も出来ませんでした、次回も出来ませんでしたという結果になってしまいます。

問題解決をすることでマネジメント能力が身につくということと、実践することで確実に前に進めていくことが出来るようになります。

すると、自らが主体的に役割を果たしていく、もしくは仕事に取り組んでいくということになってきます。自らの発案で自らの意見で物事を考えて計画を建てて実行していくという習慣がこういう活動によって身に付いていくのです。

メンバーにおいてもですか?

もちろんそうです。自ら決めたことをやっていくという過程の中で、非常に能動的な行動パターンを身につけることができてきます。

上からの指示でこれをやりなさいといわれた場合と、このようなステップを踏んでやる場合とを比較したときにどういう違いがありますか?

いい質問ですね。

これをやりなさいと言われた場合には、やらされているという気持ちがあり、受動的になってしまいます。本当に自分がやりたいのか、自分がやらなければいけないのかを判断せず、惰性で仕事をすることになります。これでは現状と変わりません。

みんなで合意をして問題解決にあたると、行動目標についても全員で決めるので、「次の時までにやるよ」とか、必ず問題解決するんだということを約束することが出来ます。問題解決が大きく前に進みます。

要するに、言われて指示を受けてやるということではなく、自分達が自ら取り組んでいくという方法で、やっていくことが出来る。そこが従来とは違うやり方です。

思いつきで問題解決をするということでなくて、仕組みや制度としてやっていくということです。それが出来るやり方だということです。

この方法は新しいやり方なのですか?

いえ、別に新しい手法ではなくて、TQCや小集団活動、5S活動や今回のカードを使って行うKJ法など以前からある方法です。

しかし、これらの方法でも上司が一方的にその役割を決めてしまったり、上司の意見で物事が全部決まってしまったりしていることが多く見られます。

少なくとも、職場の問題解決や職場の組織風土作りというのは、マネージャーが音頭をとってやらなければいけないというものではありません。

問題解決は自分たちのやっている仕事にプラスアルファでやっていく課題になります。ですから、自分達が自ら取り組んでいくという姿勢でないと、実現がむずかしいのです。

個々人においてはやることが増えるということでしょうか。

そういうことになります。

なぜ、自分のやることが増えるのに積極的に取り組むようになるのかもう少し説明します。

会社は組織ですから、日常の仕事は指示、命令もしくは役割分担というような形で進めていかなければなりません。

問題解決の場で話し合うことは、莫大な時間と労力がかかっています。日常の仕事の中で時間をかけてそこまで話し合う、合意を得るということは、やれていないでしょうし、また効率的に採算がとれませんから、そこまでやる必要はありません。

しかし、実は日常の中で、もう少しみんなの意思疎通、コミュニケーションがとれて、合意を得るところが仕組み(制度)としてあると、随分組織というのは変わってきます。多くの会社はその仕組みをつくっていなかったり、機能していないのです。

ですから、こういうことをやるとすごい成果が現れてきます。

具体的には?

組織の中の風通しがとてもよくなり、業績が確実に上がります。

私のように外部からトレーナーを呼んで行うと、全然違う意見の出方や非常に活発な討議が出来ます。

そうすると相手が、どう考えていてどう感じているのかなどが話した分だけ、相互に理解できるようになります。

逆に話をしてくれないと分からないのですよ。何を考えて、どうしようとしているのかが全く見当がつかないのです。

相互に理解ができると、相手に対する対応もしやすくなります。例えば、問題点を話し合う過程で「こんなこと感じているのは俺だけかなと思っていたら、みんなも同じように感じていたんだ」ということがわかり心強く思ったとか、勇気を出してそれに対して取り組もうという気持ちになったとか、そうやって共感し、信頼感が高まることがとても大きいと思います。

少し話をすれば、「おかしいよね、そうじゃないよね」といったことも、会話が少ないために触れられていないということが、職場の中でものすごく多いような気がします。

そのようにコミュニケーションが取れると、非常に風とおしがよくなり、何か決め事があってもみんなが協力してくれる、そういうベースが作られてくるということですか。

そうです。自分の発案で組織がどんどん変わっていくと、他の人に対する協力の度合いがぜんぜん違ってきます。不思議なことに一つのことにみんなが集中をして真剣に取り組むと、会社の業績は上がります。これは確実に上がります。

例えば、業績に関係のない挨拶や清掃などをテーマにして、グループもしくは全社で本気になって取り組むと、売上や利益率がどんどん上がってきます。過去お手伝いした会社はみんなそうでした。

何ヶ月くらい経つとそのような変化が具体的にでてきますか?

最初の一ヶ月ででます。

最初の一ヶ月ですか。

そこのところを論理的に説明しろといってもうまく説明できないのですが、これは事実です。

今、それを説明するとどうなるのかと考えていたんですけど、言われてやることと自分でやることのその違いかなと思いました。

そうですね。一生懸命になれるということでしょうか、掃除も何でも一所懸命やることによって、仕事もそれにつられてやっぱり一生懸命になるのでしょう。

そんなに人は器用じゃないので、これだけは一所懸命やって、これは手を抜いてという切り替えがすぐにできるものではない。

ええ、イエローハットの社長が便所掃除を一生懸命やって、それを指導し、会社を大きくしたというようなこともきいています。

今まで50%の力を出していたのが、60%や70%になると、自然にいろいろなところが引き上げられて、それがいつしか本人の仕事のやり方になっていくと理解してよろしいでしょうか。

はい、このような形で半年続けていると、今度は取り上げる問題そのもののレベルがあがってきますし、仕事の進め方・組織風土そのものが全社的に同じやり方になり、良い習慣が出来上ります。

そうすると新人が入社しても、その習慣が当たり前になっていますので人が育ちます。これが組織または職場の力だと私は思います。




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