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給与制度作成・評価者研修

「給料は毎年上がる」と従業員は思っており、その反面経営者側は厳しい経営状況の中でどのように人件費を見直すかが重要課題になっています。
給与制度をどのように見直したらいいか、という質問は多く寄せられますが、本日は給与制度についてのポイントを教えてください。


はい、まずどのくらいの規模の会社でしっかりとした給与制度が必要になるのかということを説明します。


事業を始め、順調に売上が伸び利益が上がってくると人員不足になり作業者や販売員を採用することになります。
3、4人になってくると、帳面をつけたり、電話番をしたりする事務員が必要になってきます。まずここまでは経営者が引っ張っていく事になります。
ところが10人近くまで来るとなかなか自分の思いどおりに動いてくれないなどの色々な問題点が出てきます。そこで片腕になって働いてくれる幹部社員が必要になってきます(幹部社員の育成については『社長の片腕』レポートを参照)。

信頼できる幹部社員がいると社長も元気になり、会社も大きく成長していきます。そして従業員の中にも自分の給料分は稼げるという人も出てくるようになります。
幹部社員が1人できると会社の成長のスピードも上がってきます。通常の1/2から1/3ぐらいの速さで20人ぐらいの会社に成長していくことができます。幹部社員が育つ中で40〜50人ぐらいまでになってくるとそこらでまた、少し問題が出てきます。

具体的にどのような問題でしょうか?

これまでは経営者が直接指導をしてきましたが、幹部やリーダーが経営者に代わって指導するようになると、社員がどのように仕事をしているのか、又社員の意識や期待が経営者に見えなくなってきます。

マネージャーやリーダーの評価が妥当で、社長の評価と同じ処遇が出来ていればいいのですが、幹部やリーダー個人の判断で評価することになると問題が発生します。

つまり「おれ達がどんなに頑張っても、幹部やリーダーが認められるだけだから」「やった分だけ評価されていない」「いくら頑張っても古くからいる社員がいい目をみるだけでおれ達は認められない」といった不満が出てくるようになります。

この当たりから会社の組織形態を整えていかないと、上手に会社がまわっていかなくなります。

それでは何が必要になってきますか?

まず、ひとつには給与制度・昇格制度(認められる)です。

どのように努力をすればどういう給料になるのか、高い評価をもらえるのか、また具体的にどうがんばっていけば良いのか、これをときどきの口約束ではなくて文章化していくことが大事です。従業員一人ひとりが納得できるようにしてあげることです。

組織のルール、たとえば報告は誰にするのか、指示は誰から受けるのか、自分のすべき役割、仕事は何か等を明確化していくことが必要になってきます。

人数の少ないときは、社長の役割分担で済ませていたのですが、50人ぐらいになってくると組織の役割分担で仕事をすすめていかないと、効率性・生産性が上がってこなくなってしまいます。

組織・会社の仕事の役割分担に企業の形態を変化させていかないと会社の成長につながらなくなってしまいます。そのために社内規定・経営理念・給与制度・昇格制度をおさえることが急務になってきます。

ここが上手くいきますと70〜80人ぐらい、もしくは100人ぐらいまでは順調に進んでいきます。給与制度・昇格制度は企業の成長にとって非常に重要なテーマです。

それではもう少し、詳しく教えてください。

近頃の新聞紙上、または経済情勢で能力主義、成果主義、実力主義という言葉はよく耳にしていると思います。

給与制度・昇格制度ということでいきますと

● 年数と共に給料が上がっていく年功序列型賃金

● この職務についた人はいくら、こういう仕事が出来る人はいくら、など職務によって給料を決めていく職能給制度

● 職務に難易度を付け、どのレベルでの仕事が出来るか1級2級3級と等級をつけてそれに対して給料を払う資格等級制度

● この仕事が出来る人、能力を付けた人にはこれだけ給料を払いますよと能力に準じた給料を払う能力給制度

経済が右肩上がりで、経済が拡大途中にある時は、給料を上げていくことができましたが、昨今の情勢のなかではむしろワークシェアリングとか毎年全員に対する昇給ができない。

そこで、給料を現状に合わせていく必要があります。経済環境、労働環境が大きく変化してきている。一つに労働者の労働意欲の問題があり、1995年労働省と電気労連の意識調査において、世界のなかで「会社と共に出世するためには多少家庭を犠牲にしてでもいいか」というアンケートで、日本は今最低になっています。

仕事を中心にする生活スタイルが敬遠される傾向がハッキリいしています。

最下位ですか?

はい。金持ち経済クラブと言われているOECDの30カ国の内、労働生産性は20位になっています。賃金に至っては、日本を100とするとアメリカは80、ヨーロッパは76という数字が出ています。

このように日本の労働環境は、高賃金で勤労意欲もなく、労働生産性も低い。なおかつ労働時間数は、同じ頃労働省の指導により1800時間週40時間があり、日本の労働時間は1900時間を割るところまで来ています。ところがアメリカは2000時間を超えるところまでいっている。日本はOECD諸国の中では6番目と労働時間も短縮強めています。

こういう現実を知らず意識変化がされていないため、まだまだ感覚で給料は上がっていくものという考えがありますが、経済が成長しない・利益が出ない・売上が伸びないとので給料を上げることが出来なくなっているのです。その中でどう働いてもらうのか?給料だけでは、解決できないところまできていると思います。

給料が上がらない、もしくは給料が下がるという時に何人の人達が意欲を持って働いて会社に残るのか?ということもでてきます。現状をふまえた中で、当社の実態をベースに給与制度をしっかり見直して欲しいと思います。

かなり厳しい状況ですね。

まず給料を考えた時、その会社が人件費として払えるのはいくらかというのが決まっています。また世間相場、まわりの会社はどれくらい払っているのか、低過ぎると採用したくても採用できない、いてもらいたくてもいてもらえないということになってしまいます。

業界や地域によっての規模と平均などいろいろなデータ―があります。いずれにしても自社が人件費として使えるのはいくらかをはっきりさせないと世間相場もあったものではない。

そこをしっかり把握して、世間相場で出すというなら、どう利益を出して、どう売上を作って世間相場まで持っていくのかしっかり計画を立てて実行しなければ、絵に描いたもちで終わってしまいます。まずは実態を把握して、給与制度を作っていくことになります。

それでは給与制度の作り方を教えて下さい。

会社で使える人件費は決まっている。それぞれの人がどういう配分でもらっていくのか、それが大きな問題です。人件費を大きくすることが出来れば話は別ですが、払うことが出来る人件費は決まっている。従来は、規模が拡大してきたから人件費は現状でこれだけという約束が出来たが、今からは約束が出来ないのです。

私の作る給与制度というのは、売上もしくは利益に比例して支払うという、金額ではなく比率で支払う給与体系を作っています。

例えば評価で満点を取ったらいくら、目標達成したらいくらというような仕組みにはしないようにしています。

しないようにするんですか。

はい、会社の業績に連動する給与システムを作るという事が重要になってきたと思います。皆が意欲を持って一生懸命働いて納得が出来る給与・評価システムをどう作るのか。

まずは納得性があり、公正で公平な給与制度ということになると、オープンでなければいけない。全員が同じ条件のなかで、同じ土俵の中で、確認ができる事が絶対条件です。

社員が納得できることが前提条件になります。そのために皆さん自身に作ってもらいます。自分が作った制度であれば不満はあっても、当然納得性は高いものになります。

まず自分達の人件費の総額があります。売上に対して人件費をいくら使ってきたのか、ここ5年間の人件費は売上の何パーセントか、利益との関係でいくら支払ってきたのか。それをベースにして、今後売上にしめる利益を考慮して何パーセントということを約束事として決める。例えば売上(粗利)に対して30パーセント売上(粗利)がのびれば給与も上がる、パーセントは一緒ですね。

給与というのは、利益を出すためのコストなんですね。

そうです。ですから利益もしくは売上に連動するためには、従来使ってきた金額をベースにしてやるということを皆に納得してもらう。

現状での支払能力はあるわけですから、今後業績がよくなったら30パーセントを維持します、悪くなっても30パーセントは維持しますと約束をします。(5年サイクルぐらいで%の見直しは必要です。)これが自分の考える比率による給与制度です。売上または利益、会社の業績に連動する給与制度だと思っています。

将来的に研究開発とかいろいろな事がありますから、将来をみこんで例えば、役員賞与を売上の何パーセント、販管費を何パーセント、研究開発費を何パーセント、社内留保何パーセントというようにパーセンテージを人件費だけでなくすべて中長期経営計画(短期利益計画・経営計画参照)の中で丁寧に予測しておくことがとても重要です。

行き当たりばったりにしないということですね。

そうです。まず、その支払っていく財源を明確にしていく。人件費をどう配分するかになります。

どういう仕事ができ、どういう成果が出て、どういう行動をしたのか、それによって評価でき、納得性の高いシステムを作っていくのです。

例えばボーナスを、Aランクを取った人が0.5ヶ月プラスで取るのか、1ヶ月プラスで取るのか、逆にCランクだった人は0.5ヶ月マイナスで持っていくのか1ヶ月マイナスで持っていくのか、Bランクを平均に持っていけばそういうことは可能になってきます。これはあくまでも配分の問題であって、金額はさわらないで済むということになります。

はい。

平均をどこに持っていくか、3段階であればA〜Cランク、5段階にするならA〜Eランクまで。10段階ならJまで。

それぞれ、真ん中に平均を置いて上下同数の比率にすれば良いわけです。私はそこを相対評価にしています。

3段階ならA評価を3人としたら、C評価を3人にします。そして残りをB評価にします。そうすることによって支払額を一定に保つことができます。

例えば評価表で10人評価をすると、1番〜10番まで出てきますね。そこで上位3人がAランクであれば下位3人をCランクにします。これは絶対条件です。

3人というのは変わらないのですか?

いえ、そうではありません。この切り方はその時々の点数の出かたもしくは、切り具合のよい所で切ります。例えばBランクが2人ならAは4人、Cも4人ということもおきます。しかし、会社としては支払額は変わりません。

要するにその時々の切り方でBランクはなしでAとCの2つになっても、5対5であれば同じように推移することができます。

昇給も同じことです。今年は業績が悪くて昇給が出来ないということなら、昇給なしがBの評価になります。評価の良いAの人は昇給して、評価の悪いCの人は減給になります。

なるほど。

上記に記した給与制度・昇格制度を作り、次に評価表を作って運営してもらっています。まとめると『こういうことが出来て、こういう成果を出せば、高い評価を得られますよ』というのをそれぞれの企業の状況によって、作り上げていくわけです。

100名ぐらいの会社であれば5段階〜6段階ぐらいで従来行っていて、それに対する給与を決めていきます。

それは、先ほどの原資があるわけですから、その原資で決めていきます。

先ほどお話に出た評価表について教えてください。


評価表につきましては、年度毎の事業計画において、今年はどこに力をいれていくかを決めます。例えば売上もしくは利益に力を入れたいということであれば、売上、利益を評価項目に入れます。そうすると業績評価のウエートの高い評価表になります。

モラルに重点をおきモラルアップをめざすのであれば、職場のルールや規律という評価項目を作ります。これは態度評価を中心にした評価表になります。このように、だいたい7項目〜8項目ぐらいを評価項目として年度毎で設定してそれを評価していきます。

評価期間、○月〜○月の間はこの評価表で評価していきますということで、評価期間の前に皆さんに配布してしまいます。


先に渡しておくんですね。

はい。これで評価をするよというのをあらかじめ伝えておくのです。

その評価表で自己評価と上司評価を行います。私の評価は個人評価は採点ではいっさい考慮には入れていません。では何のために自己評価をするのかというと自分自身をどう思っているのかを明確にするためです。

良いと思っていれば努力をしないし、悪いと思っていれば努力しなければいけないと意識させる。現状が上司もしくは会社からみて、どういう評価なのかを伝えます。

本人の評価と会社の評価のすり合わせがないと、努力目標が出てこないので、そこをしっかりすり合わせてもらって自己目標を設定、または強く意識してもらう。

上司は部下と個人面接(面接の仕方については『業績不振の部下への面接方法教えます』を参照)をして、なぜ私はこういう点数にしたのかという理由を伝えます。さらにあなたのつけた点数にするには、あなたの行動や仕事の結果をこのようにしてください、と何が足りなかったのかをしっかり本人に伝え納得させることが個人面接で必要になります。(評価表が重要な意味をもっています⇒)日常の部下の行動が評価表に記述されていることが面接をスムーズに行えるポイントになります。

個人の目標設定が対等で、業績の評価が公明・公正であって始めて本人が納得でき、やる気につながつながります。

給料が高いことだけがやる気につながるというわけではないということですね。

そうですね。給料は高いに超したことはないのですが、高くしてもこれで納得するかといえばもっとという事になります。

給料が高いか、安いかではなく、どう評価をされて、(ことばを変えるなら認められて)自分はその中でどういう配分をもらえているのかをしっかり理解出来る、不満はあっても納得できる仕組みを作っていく。このことが本人にとってのやる気と帰属意識に大きく影響を及ぼすことになります。

職務基準は大企業の職務基準をもってきたり、業績がとてもいい会社の職務基準を持ってきたりしても意味がありません。それで上手くいくのなら会社は一つだけで事足りてしまいます。そのやりかたで会社が一社だけ生き残ることになる。

そうではなく現在500万社という企業がありますから、500万通りのやり方があるのです。その500万通りの内、どのやり方がいいのか、うちにはうちの会社のやり方がある。

● 経営者の創業当時の思い

● 従業員が皆で作ってきた会社の組織風土

● 会社の特徴

● 成長、発展につながる他の企業よりも優位性を持ったところ

こういうことを念頭において借り物ではない独自の物を作っていく。

企業の成長と方向性・やっていく事業内容、どう仕事を構成していくのかを責任ある社員の人達の思いで作り上げることが重要です。経営者自身が積極的に承認でき、将来に期待を大きくできる物を作ってもらうことです。

はい、良く理解できました。次に絶対評価と相対評価について教えて下さい。

そうですね。簡単にいうと相対評価は、対象物があり、こっちよりもあっちのほうがいいというのが相対評価。私の給与制度は一点相対評価になります。

絶対評価は、良い悪いという基準があって、この基準を満たしていれば良い、満たしていなければ悪いというのが絶対評価。

従来の給与制度は、評価表において70点以上取っていればA評価、50点以上ならB、49点以下はCというように点数で評価していました。この点数によって昇給幅やボーナスの月数を決めていました。

会社の業績と連動していないので、業績が悪くても皆がA評価を取れば給料も上がるし、A評価のボーナスももらえました。

たいへんなことになりますね。

そうです。給与と業績を連動させるためには、先程のBを基準とした給与体制、平均を決めて業績に合わせ今年はボーナスを1ヶ月払えるということならBは1ヶ月、2ヶ月払えるのならBは2ヶ月、Aは何人いてもいいのです、そのかわりAがいた人数だけCがいればいいのです。

絶対評価だと人件費の大きさはわからないわけですね。相対評価だと人件費はこれだけだから、それをどう分けるかということですね。

そう、バブル前は会社の利益も出て売上も伸びていたので、決めた段階より上にいっていたから上にいった分だけ会社の利益だった。その時点で払える能力は増えていたので、それに合わせることは可能だった。今は成長していませんので、約束していた分だけ企業は払えなくなった。今までの分を吐き出せといえばその通りですが、吐き出すものもなくなっているのが実態で本当に困っています。

利益に連動した給与体制というのは、今まであったのですか?

絶対評価が前提でしたから、公式には作られていませんでした。これは私の発想です。これは我社が行なう給与体制のアピールポイントです。

オープンにして行なうということでしたが具体的にはどうするのでしょう?

職務の基準表、評価表、評価の期間等のルール、給与テーブル表を全部皆に配ります。そして、ルールも全部話をして今からこういう風にあなたを評価しますよ、頑張ってねと最初に伝えておきます。

そしてやれたかやれないかを評価します。評価に反映しませんが自己評価も行い、本人に意識をさせます。自分の努力は自分では80点だと思ったが、会社の評価は50点だった。その30点の差は何か、については上司から個人面談で「この評価表の記述では、あなたの行動は50点です。80点の行動はこうこうです。」と明確にフォローしてもらい納得していただきます。

基準はすべて自分達で作るのですね。

自分の作った給与評価制度である必要が、今までの文章でいかに重要か理解していただけたものと思います。全てオープンにして最後に個人面接を仕組みの中に必ず取り入れていきます。

動機付けがはっきりして、受け入れやすいですね。本人のやる気も変わってきますね。

そうですね。評価する方も自分が出来ていないとまずいと思いますよね。評価するということは、言わば教師と生徒、教える側と教わる側という関係になりますから、教える方もそれ相応の覚悟が必要になってきます。


なるほど。
本日は従業員のやる気を引き出し、会社の業績に連動した給与評価制度についてお話をしていただきありがとうございました。


ありがとうございました。








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